川嶋大知は元自衛官なのか?
皆さんこんにちは。川嶋大知です。
私の経歴に、昨年まで陸上自衛隊の予備二等陸曹をやっていたというものがあり
「川嶋さんは元自衛官なの?」
と質問をいただく事があります。
結論から申し上げますと、私は元自衛官ではありません。
今回は、そもそも「元自衛官」いわゆる「元自」とはなんなのか?についてお話ししようと思います。
元自衛官という言葉について、法律で定義されたものはありません。
ですが、一般的に自衛隊関係者の認識としては「職業(常備)として自衛官だった者」を指します。
「職業じゃない自衛官なんてあるの?」と疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
あります。それが、予備自衛官補という制度です。
海上自衛隊の予備自衛官補もあるのですが、かなり特殊なので、ここでは陸上自衛隊の予備自衛官補制度のみを紹介します。
予備自衛官は元々、退職自衛官のみ、つまり常備自衛官出身者しかなることができませんでした。
しかし予備自衛官の充足率の低迷といった課題もあり、充足率の改善及び民間からの自衛隊への理解を深めるという目的で、民間人でも所定の訓練を修了すれば予備自衛官になれるという制度が2001年に創設され、2002年から採用が開始されました。これが予備自衛官補制度です。
予備自衛官補は大きく分けて「一般」と「技能」の募集があります。
予備自衛官補(技能)は陸上自衛隊が募集する資格を有する者のみが受験可能で、合格した場合2週間の訓練で予備自衛官に任官する事ができ、有事の際にはそれぞれの専門資格を活かして働く事になります。
現在まででも災害時やコロナワクチン接種支援を目的に、看護師や医師の資格を持った技能予備自衛官が招集されています。
そして次に、私が修了した予備自衛官補(一般)は10週にわたって、全陸上自衛官が入隊時に受ける約3ヶ月の「前期教育」に相当する訓練を受け、全ての過程を修了すると予備自衛官に任官することができるという制度です。
主な任務は駐屯地警備といった後方支援が想定されています。
最前線での活動に特化した即応予備自衛官という役割もあるのですが、話が長くなってしまうのでここでは割愛します。
さて、この予備自衛官補というのは、法的には「非常勤の特別職国家公務員」という肩書になります。
予備自衛官や即応予備自衛官も同様です。
つまり、常備自衛官出身者を「元自」と呼ぶ一般論に照らし合わせると、予備自衛官補出身者は非常勤の特別職国家公務員の経験しかない為、元自とは呼ばれないのです。
ですので同じ「予備自衛官」でも元自衛官の予備自衛官と公募(予備自補)出身の予備自衛官は区別されており、招集訓練の際にも肩章の色が違ったりして言わなくとも区別できるようになっています。
区別されていると書くと差別的に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私を含め、予備自衛官補出身者は10週の訓練を通し、これを職業としてされている(いた)自衛官、元自衛官に対し絶対的なリスペクトを持つようになります。
その為、予備自衛官補出身者が元自を騙ることは普通ありませんし、むしろ全力で否定するかと思います。
そして同時に、(元)自衛官の方々も我々に対し、民間での学業や仕事があるにも関わらず訓練を修了した公募出身者に対して敬意を持って下さる為、区別というのはお互いが気持ちのいい形で、敬意をもって行われていると考えています。
最後に、私が予備自衛官補の訓練を修了した際、代表で挨拶をさせて頂いたときの文章を載せたいと思います。
この時の気持ちは今でも変わりません。
まず初めに、我々予備自衛官補の訓練を担当して下さった109教育大隊、314中隊、315中隊、316中隊の皆様に心より感謝申し上げます。
また、訓練の支援をして下さった方々、我々の訓練場所を提供して下さった皆々様にも、心より感謝申し上げます。
今この場にいない予備自衛官補の仲間を含め、我々は、様々な理由から志願し、この場にいます。
国防の一助になりたいという思いから志願したもの、災害派遣に従事したい思いで志願した者、肩書を求めて志願した者、なんとなく応募してなんとなく訓練を乗り切ってきた者。
しかし、この場に集った理由はバラバラでも、約3ヵ月の訓練を通して我々には共通したある想いがあります。
それは「自衛官はやはり凄い」という事です。
我々は、皆様が経験してきた数年数十年にわたる訓練の数千分の一、数万分の一にも満たない事しか経験していませんが、それでも「自衛隊はこんなにも大変なのか」と強く思わされました。
国を守るため、日々厳しい訓練をこなし続ける皆様には、敬意と感謝の念に堪えません。
これまで一民間人でしかなかった我々は、これからは「予備自衛官」として有事の際には時として皆様と肩を並べて働き、時として空になった駐屯地の警備や物資の輸送などの後方支援に当たります。
その時に「予備自がいてよかった」と思って頂けるよう、有事の際は誠心誠意任務に当たる事を誓います。
改めて、109教育大隊を始めとする大津駐屯地の皆様に、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。